中国桂林・広州旅行記
「遥かなるボッタクリとの戦い」
海外旅行だからといって、はしゃぐ事もなくなった現在、旅行するならのんびりしたところが良い。ということで、選んだのが桂林・広州の旅。山水画の世界をのんびりと船で河下り・・・のつもりが、結構、笑える旅になってしまいました。

Battle00:Hotel Room

まずは、ジャブということでいいますと、「髭ソリはホテルのを使えばいいや」と思っていたのですが、そこはそれ中国。有料な上に、これがまた「素晴らしく剃れない!」50回剃って、ちょっと剃れるかという程度。ちゃんと新品で、ちゃんと二枚刃で、ここまで剃れないシェーバーというのは、もはや感動モノ! しかも、50回もやってたら、肌は荒れまくり。まさに「ヒゲを切らずに、肉を切る!」もはやギャグとしか思えません。

髭ソリを諦めて歯磨きに入ると、毛が抜けまくり! みなさん、歯磨き中に歯ブラシの毛が抜けていくなんて体験したことありますか? もう大変ですよ。飲み込まないようにゆすいだ後に、歯に挟まった毛を抜いていく・・・。髭剃りと歯磨きだけで、これほど笑わせてもらえるとは、さすがは中国の三ツ星ホテルだけはあります。

「ボッタクリとの戦い」とか言っておりますが、シャレにならんような悪質なものではなく、如何にして日本人観光客から金を巻き上げるか?という商魂たくましい中国南方の情熱に、感動した物語であります。

観光地はいろいろと行ったのですが、印象深かったり、笑えたりするところをクローズアップしております。右の写真は、土産屋で買った中国の人形&美朱にチャイナドレスを着せた2ショットです。Dollerとして、このへんは押さえておかねばと、高かったのですが、いっぱい買ってきました。また紹介します。



↑接近中!


↑のどかに見えますが、撮るのは大変。
立ち止まったら店番が売りに飛んできます。

Battle01:The Great River

まずは、璃江の河下り。アジアの観光地はどこもそうなんですが、日本人の旅団を見つけると、粗悪品を手に「オミヤゲ!千円!千円!」 現地の通貨「元」ではなく、日本の通貨「円」で、「オミヤゲ!千円!千円!」といいながら、行く手を塞ぎ、しつこく付いてきます。 まず、船に乗るためには、この千円軍団を突破しなくてはなりません。

乗った船は60人乗りの屋形船。二階建てで、下は船室、上はデッキ。昼どきには料理も出ます。進行方向右側の席が、我々日本人30人。左側がフランス人30人。1階船室で、窓から行儀よく景色を見ている日本人、出発と共に席を立ってデッキへと向かうフランス人。国民性が出てますな。しかし、私(+NAZO一家)は、フランス人より先に二階デッキへと飛んでいったため、デッキの前方かぶりつきで、景色を楽しめたのは、フランス人と我がNAZO一家だけだと言えるでしょう(笑)

璃江下りは、まさに山水画の世界。奇妙な形の山々に、大きな川。竹で作った筏(いかだ)に、笠をかぶった人が乗り、立って舟をこいでいる。

「うーーむ、風流よのぉ・・」

ところが、我々の船が近づくと、竹の筏がスピードアップし、我々の船にドカーンと横付け! 船体にしがみ付き、鮮やかにロープを巻きつけ、筏を曳航させる。「何をするつもりやねん??」と思う間もなく、筏の上の荷物を持ち出し、1階船室の窓を開けて!

「オミヤゲ!千円!千円!」

「・・全然、風流ちゃうわ! (≧∇≦)/ 」

どうやらテリトリーがあるらしく、ある程度進んだら離れていくのですが、流れが緩やかな所に来ると、新たなる「千円!千円!」が出現し、横付けしてきます。私は2階デッキの最前列に居たので他人事だったのですが、1階船室に居た人は被害直撃だったはず。のどかな風景が殺伐としていたのでしょう。昼食に下りたら、何人か買わされていました。多分、アレでしょうな。吉野家風に言うと、「おまえら千円やるから、とっとと帰れと!」という気分だったのでしょう。

そのあと、みやげ物屋でね、「掛け軸」とか見てもね。

『ああ、こんな山だったなぁ・・
 こんな川だったなぁ・・
 うん、ちゃんと「千円!千円!」も描いてあるわ! (^Q^)(^Q^)(^Q^) 』

もはや、現実を知ってしまった今、山水画を見ても笑えてしまうという。素晴らしき中国の旅! 中国南方の商魂おそるべし。

↑土産物屋のチャイナドール、少数民族モノ多し!


↑桂林夜景 「銀の塔・金の塔」


↑街外れは怪しい食材いっぱい


↑向こうで買ったアニメ雑誌 CDROM付き!


↑ホテルから撮った、桂林市内の朝
Battle02:Keirin City

ちなみに本当は「Guilin City」だと思います。璃江下りの後、土産物屋に連れて行かれましたが、これがまた激烈に高い。扇子1本6000円、硯1個80000円。品質はいいのかもしれませんが、先の千円!千円!の扇子が、20本で1000円なので、1本50円。120倍の落差は、同じ国なのだろうか? 例の如く店員がマンツーマンで付いてくる。気分はもうバスケ!まあ、ドール者としての興味もあり、右のチャイナドールだけ買いました。

「このままではイカン!」ということで、その後のオプショナルツアー「少数民族舞踊」とかいうのを断り、半分「脱走気分」で、「桂林市内街歩き」をすることにしました。添乗員は、ちょっと嫌がってたような。しかし、独断行動されると困る・・とは微妙に違う感じ。意地悪な見方をすると、ホテル着20:00というのも、街歩きの意欲を出させない計略だったのかと思えるほどです。

はっきり言いましょう。桂林市内の街歩きは、めっちゃ面白かった!!

まず、なんと言っても普通に安い!

旅行中、暑いので、ミネラルウォーターをそこら中で買います。書くとこれも長い話だけど、空港で人民元に換金する暇がなく、日本円をぼったくられ、ミネラルウォーター1本300円。観光地で買ったミネラルウォーターが1本10元(150円)。ホテルの冷蔵庫にあったのが1本5元(75円)。ここ、桂林市街では1本2元(30円)。スモールサイズに至っては1本1元(15円)。まあ、いいといえば良いんですが、いかに観光とは言え、水一本でまで、ぼったくろうとする心意気に感心ですよ。

ツアーで連れて行かれた烏龍茶の店。そこで買った「干しイチゴ50元(750円)」味見したら美味しかったので、自分ら(含む親戚)の分も買おうと思ったら、お母んが一言。「箱入りは土産物だけにしとき。自分らの分は、あとで絶対、街中で買える。」・・・ありましたよ。干しイチゴ1袋12元(180円)。さらに4つ買ったところ、店員は「コイツら、こんなに買って、なんで値切らないんだ?」と不思議そう。1つオマケしてくれる始末。もう、底値いくらか分からん。

本皮の財布30元(450円)、音楽CD20元(300円)、3枚組の一番高いCDでも35元(525円)、ちゃんと剃れるScickのシェーバー11元(165円)、怪しい裏通りではなく、表通りを歩いてこの値段。ある意味、もはや別世界。

極めつけは中国マッサージ、全身と足裏があり、どちらも1時間めっちゃ丁寧にやってくれて20元(300円)。両方やっても40元(600円)。添乗員が言っていた。

「明日のオプショナルツアーは足裏マッサージです。お一人様3500円となります」

・・・ふーーん (´ー`)┌ という感じ。

桂林の街は博多に雰囲気似てます。夜遅くまで店がやっていて、屋台が多い。桂林を通る川(璃江)の真ん中に「金の塔、銀の塔」があり、ライトアップされていて奇麗!

屋台の本屋には、日本のコミック(中国語)が売っており、なんと「七瀬葵」の中国語海賊版まであるという、マニア満足のラインナップ(笑)。

町外れまでいくと、大きなたらいに、ザリガニやら貝やらの食材、果ては蜂の巣、網の中に入れられてニワトリやら蛇まで売っている。さすがに買うわけではないけど、TVで見るアジアな光景をライブで見れるわけだ。

いま考えれば、超激安ってワケでもないし、買い物して、名所で写真を取って、マッサージしてもらい、コーヒー飲んで帰る。まあ、言えばそれだけの事ですが、どういうわけか物凄い満足感が! それは一体何だろう? それはつまり、

「ボッターなツアーを出し抜いて、本当の中国を満喫してやったぜ!(^Q^)(^Q^)」

という「勝利」にも似た快感だったのでしょう(笑)

ちなみに、ヤバそうな店はありましたが、そんなのは日本と同じくスルーすれば問題なし。街の人は日本語が分からないので、別に冷たいわけでもボッタするわけでもなく、庶民の反応はこちらと同じ、「最近、桂林にも外国人来るんだなぁ」てな感じでした。

↑マクドは「麦当労(草冠り)」


↑ケンタッキーは「肯徳基」と書きます

InterMission:About China

「究極の戦い」に入る前に、中国で感じたことを書いて見ます。まず、向こうは英語が全然通じません! 発音がどうのではありません。ワン、ツー、スリーは分かっても、「No2」とか言うと、この「ナンバー」が分かりません。便所聞くだけでも大変です。Toilet,Restroom全部ダメ、WCと言ってやっと分かってもらえた。老人は文革や大躍進、中年は冷戦時代にアメリカは敵国だったので、英語を習ってないのは分かりますが、20代の人でも普通に英語知りません。左のように、外来語は全部漢字に訳すからでしょうか?会話で言えば、宇宙人の如く通じません。中国では漢字筆談に限ります。
交通ルールは、もはやケンカです。だいたい、場所によっては1kmぐらい横断歩道がない。渡るなら、強行的に車道横断です。ガイドさんが言ってました。「ハイ、渡ッテ、渡ッテ。渡ラ無イト、車、止マラナイヨ」アジアはどこでもそうじゃん? 中国は感覚がちょっと違うんですなぁ。

我らのバスの前におばあさん飛び出し!!
観光客:「うわぁ、おばあさん危ない!!」
観光客:「おばあさん、勇気あるなぁ・・」
観光客:「お年寄り優先なんじゃない?」

ガイド:「ハイ、勇気アル人、優先デスネ!」

交通はケンカだ!の感覚が分かってもらえたでしょうか?その後、おばあさんは当たり前のように中央分離帯を乗り越えて渡っていきました。
「中国人は声が大きく、ケンカ腰である。」確かにそうですが、ケンカではありません。話によると、「昔の中国は、大きな田んぼを挟んで会話していたので声が大きい。それが今でも習慣として残っている。」だそうです。「中国人は冷たい。中国人は商魂たくましい」いっしょにしてはいけません。中国というのはめちゃ広いです。ガイドさんの話を聞く限り、北京=東京、広州=関西のようで、北京の人はプライドが高く、ドライなところがありますが、広州の人は「もうかりまっか?」的にはたくましいんですが、ウェットな感じです。北京の人からすれば、「南の奴らは、金儲けばかり考えやがって!」てなところがあるかもしれません。
「広州・桂林って、なに省?」 広州は広東省、桂林は広西壮族自治区です。というわけで、桂林は少数民族自治区のようです。そこで思ったのは、中国といってもチャイナドレスだけじゃない。いろんな少数民族の衣装がある。それらを今後のデザインの参考にしよう。というわけで土産物屋で人形を買ってきました。左から「阿持馬」「満族」「弊族」「布朗族」(日本の漢字に無いやつは適当)です。気づけばご当地の「壮族」は買ってねぇや(笑) 一番左の奴なんか一瞬「スイスかなんかじゃないの?」てなセンス。でも、どれも中国と言われて、納得できそうな感じがします。







Battle03:Final Battle in Museum

さて、最後に「究極の戦い」をご紹介しましょう。ツアーの最後に行った、この美術館。まず、ツアーの行程表にも載っていませんでした。名前も正確には思い出せません。ただ、広州と博物院は付いていたのは覚えています。というのも、その前に「広州博物館」というには行ってまして、日本語が喋れる学芸員の説明が、次のように始まったのです。

「みなさん、中国の博物館と博物院の違いをご存知ですか?博物“院”のほうは、文物の管理だけでなく、修復や鑑定も行う一段上の施設なのです。中国には北京の故宮博物院、上海博物院、台湾の故宮博物院があり、この広州にもやっと、博物院が1995年に完成しました。」

確かに、最近出来たカンジの近代的な博物院。全部を見ると1日かかるので、今日はそのハイライトだけをご紹介ということで、中の文物をお目にかかります。中で国宝級の屏風やら、巨大な孔雀石を彫った彫刻やらを見せてもらいます。毎日、「千円!千円!」と向き合ってきた私達は、その静かでアカデミックな雰囲気に酔いしれていました。

「先ほども申しました通り、ここは最近出来た博物院で、その文物は富豪の方々や、現代の名工の方々からの文物の寄付に支えられております。中国では100年以上を、骨董品。それ以内を近代品と呼びます。こちらの棚ですが、どれが骨董品かわかりますか? そう、こちらが骨董品、こちらが名工による近代品です」

なるほど、そう言われれば格調高い。「千円!千円!」はおろか、土産物屋の物とも格が違う。いろんな逸話を聞いた後、こういう話が出ました。(会話の合いの手はNAZOではなく、ツアーの他人です)

「さて最近、広州で遺跡が発見されました。しかし、これを発掘する予算が国から無く、我々博物院が資金を調達しなくてはなりません。思案していると富豪や名工の方々が、『私達が寄付したものが資金の一部になるのなら!』と文物を売却することを許可してくれたのです。博物院が文物を出すなど、滅多に無いことです。しかし、まとまった現金を手に入れる方法はこれしかなく、ここに並ぶ棚の全ては、来週から一週間、1棚単位で全世界に応募売却されます。」
「へーーー」
「値段のほうはといいますと、みなさま驚かれるかもしれませんが、
1棚11点。黒檀の陳列棚も入れて“150万円”です。」
「えーーー!」
「もちろん、本当は800万円はするのですが、高いと売れないため、とにかく現金化しようと、10年前の値段にしています。もちろん、こんなに安いとニセモノではないか?と思われるかもしれませんが、1点1点に我が博物院が発行する鑑定書がついてございます。」
「あ、あの。この場で買うことは出来るのですか?」
「え、ええ。お望みでしたら。既に、いくらか予約は入っておりますし。その場合、送料の船賃も合わせまして150万円です。もちろん先に数万円支払って頂き、お届けして、物を確認して頂いてから、残金を振り込んで頂く仕組みになっております。」

いま思えば、アメリカとかの景気のいい国の美術館に売れば、ちゃんと800万で買ってくれるやん!とか、投機目的で住まぬ高級マンションを買うような広州市民をして、こんなチャンスで、なぜにまだ売れ残っている?とか思うのですが、その時はもう!

美術館の落ち着いた雰囲気、学芸員のアカデミックで素晴らしいトーク、もともと日本人はこういうもの好きだし、博物院お墨付きの鑑定書、とあらば、そんなものには全く興味の無い私でさえ、「150万円かぁ・・オレでも無理したら買えないことはないなぁ・・」とか一瞬思ってしまいました(笑)

もともと、渋好みの桂林・広州ツアー。小さい会社なれど社長さんも数人参加しています。若造の私でさえ、こうなんですから、資金に余裕のある年配の人はもう (☆o☆)キラーン

今まで散々「千円!千円!買って買って」だったのが、「まあ、お売りしてもよろしいですよ。」という態度が新鮮だったというのもあるでしょう。

その時点で手を上げる人はさすがに居なかったのですが、博物院付属の土産物屋にいってから、NAZO一家は冷静になったものの、欲しい気持ちはは離れてから強まるもの。おっちゃん数名が、どうしても未練のある様子!とうとう、彼らは「もう一度、見せてもらえますか?」とか言い出しました。既にドアは閉まっていたのですが、「ええ、いいですよ。いま、ドアを開けます」と向こうも快諾! 面白いので、買う気もないのに「私達も、もう一度、見せてもらえますか?」と面白半分で付いていきました。

中の一人はかなり真剣に購入を検討! おっちゃん、早まるな! しかし、そういうことを言葉に出すことは出来ない雰囲気。その上、どうしても社交辞令で物品を賛辞してしまいます!一計を案じ、私達はその場を離れることにしました。というのも、年配の人たちは、他人(ギャラリー)の前では、気が大きくなってしまうもの。

「アカン、このまま俺達がここにいれば、おっちゃん、買いよる!!」

NAZO一家が帰れば、急に寂しくなるので購買意欲も薄れるだろうと、その場を離れました。結局、誰一人買わなかったようです(´ー`)。しかし、後で話に聞くと、「120万ぐらいまでは負けましょうか?」とかいうところまで行ったとか。どんな博物院やねん!



↑上2つの景色は、話と関係ありません

あとで、日本の添乗員に聞くと、申し訳無さそうに「いやぁ、週に一人は買っていく人、いてますね・・。」 いるのかよ! つーか、週に一人って限定品じゃなかったっけ?たまたま俺達がキャンペーンの最後だったのか? この辺りの顛末だけ、外人が喋る日本語というのもあって、今書いていても、ハッキリ思い出せません。ある意味、これも話術か?

フォローしておきますと、さすがにモノは良かったように思うし、鑑定書もつくのなら、買ってTV鑑定団に出して大恥かくということは無かったと思います。広州の遺跡の話も本当でしょう。しかし、値段相応のものだろうことは確か。投機目的や家宝にするつもりで買ったらダメ。もともと骨董品好きで、「棚付きでこの値段なら安い、日本じゃこの値段じゃないよ!」という、価値のわかった「お土産気分」なら、買って損は無かったと思います。

とはいえ、よく考えれば、旅行費激安のパックツアーに、お土産150万円というのもキッツイ話。それでも、一瞬その気にさせるのは、ホッタクリスピリッツ以上に、中国文物の魅力・魔力があるのかもしれません。

いままでも、中国は「香港」「台湾」「今回の桂林・広州」と3回行きましたが、(香港は返還前だったので、厳密に言うと中華人民共和国は初めて)

「緊張感を持って、旅をする」という意味では、今回の旅行が一番面白かったです。NETで見たりするに、「中国は嫌い嫌い、でもなぜかまた行ってしまう。」というのがなんとなく分かったような気がします。

みなさんも、是非、中国へ! ただし、気をつけて(^^;
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