ローゼンメイデン作った
これは恐らく、最高に難かったキャラドールと言える でしょう
(;´Д`)


まあ、大袈裟な題名のわりには一つしか作ってないんは、ご容赦ください(^^ゞ。然る事情で、イベントはおろか、他人のためにドールを作ることを封印した私ですが、然る親しい友人から、以前より申し出があったので(って、それじゃ、だいぶ前からだなぁ・・)、この前、しゃぶしゃぶ食べながら話をしました。

話題に上がったのは「水銀燈」 ローゼンメイデンは、キャラクターが人形。人形のドールを作るというのも面白い話ですし、ドールカスタマーがこぞって挑戦している作品のようです。しかし、耽美系ロリータな雰囲気なので、SDから作っている人が多く。ここは一つ、1/6アイペドールのカスタマーとして、私も行かねばというので、取り掛かりました。

しかし、まさか、こんな大変だったとは。「水銀燈」。恐らく、全キャラの中で最も難易度が高いと思われます。素材の吟味から、服作成、アイペイント、仕上げまで、なんとまる1ヶ月掛かってしまいました。ライン縫い、ブーツ作成、アゴ削り、頬へのロール髪、ハイライトなし。なんかもう、持てる技術を駆使して作った感じです。思い入れが薄いので、ちゃんと出来たのか不安ですが、作ってみたいと思っている人の参考になればと、作成話を書いてみます。

さて、どんなキャラなのかと調べてみて愕然! まず最初の難関は「」でした。

これって、どんな型紙作ればいいのかしら? ヾ(’▽’;)ゝ

いや、上はいいとして、下の羽根って、4枚?6枚? 逆チューリップはどうやって開くの? 私の結論を申しましょう。羽根は4枚で、最前列は折り返しているのです。つまり前の二枚は、折り返しの羽根の部分を盛り込んで型を作り、最初の谷折りをミシンで縫ってしまい、山折りはアイロンを当てれば、サテンリボンのXの連続が引っ張り合い、最前列の2枚を作ります。

↑ようするに、こんな型紙

次にその羽根を開く方法ですが、内側の白いスカート部??でやっています。こういうのはウエスト部をゴムを引きながらミシンで縫っていき、釣鐘状にするのですが、それをちょっと極端にして、外側の4枚の羽根を押し広げるようにしております。
次に素材の決定です。まず、素体のほうは、同作品の他キャラに比べて等身が高いので、NEW-EBでいくということになりました。27cmのバランスならヘッドはVOLKS-Aに決めました。アゴのラインが鈍角なので、miniも考えたのですが、miniというほど横長ということも無く、どうせ加工するのなら、成功例の多いAを使うことに決めました。次に、髪の色ですが、かなり微妙な色をしており、バッチリ適合するものが無いので、言い切って通りそうなものを考えました。候補は「白/銀/ペールブルー」を相談したところ、「イメージとしては銀じゃない?」というので、当初は銀で行くつもりでした。
しかし、髪色ではなく、素体色のほうに問題が発生します。原画を見る限り、どう考えても「新肌色」ではなく「美白」を使うべきだと思うのですが、なんと「美白Aの銀髪」というのは商品ラインナップにはないのです! 銀色を出す染色は頭頂部に問題が残り、植毛は工期的に無謀なので、検討の結果、「美白Aの白髪」で行くことにしました。

さて、今度は調達に問題が。この「美白」ってやつ、どういうわけか首都圏じゃなかなか入手できないんですよ。アキバ行って無い、池袋行って無い、横浜行って無い。新宿に行ってやっと入手できました。まあ、たまたまタイミングが悪かっただけかもしれませんが、買う奴はいるのか?と思うぐらい、関西では余りまくりの美白ヘッドが、都内じゃ結構、愛用者が居るんですね。
服の型を決め、試作を行い、素材を調達して、次はいよいよ服の作成です。些末なことかもしれませんが、「銀の十字」をどうするか?に悩みました。アクセサリ屋をいろいろ探したのですが、このサイズで、この細さで銀の十字というのがなかなか見つからず、また、殆どの十字パーツは交点が上の方にあり、糸を通すところも上にあって逆に出来ません。また十字の先端がパラけていなければなりません。ここは一つ、「紐を縫う」ことにしました。(紐をミシンで縫いつける方法は、また工房のほうで解説いたします。)

ユザワヤで売っていた「京の結び紐」とかいうのに、銀色があり、それを縫い付けることにしました。コレなら長さも配置も自由。また先端をほつらせると、バラけたデザインに見えるかなぁ?と。

↑大まかに服が出来たところ

あと、服に関してチョロチョロと。まずブーツは、伸縮の合皮で自作しました。(また工房に載せたいと思います。)膝の辺りの白黒リングは、バイアスの中央に、黒のゴムを引っ張りながらミシンで縫いこみ、ブーツの上から履かせています。袖の部分は、外側に割れるように作っておいて、フリルを三枚縫いにしたリングを、後から通しております。下図のようなサテンリボンを偶然にもみつけたので、首輪とヘッドドレスに使っています。ヘッドドレスは左右に飾りリボンをつけて、黒ゴムを縫いこんで出来上がり、首輪のほうは、極細のカタンゴムで結んでいます。背中の羽根は、マラボウの小を使っています。
服が出来上がったので、さて次はヘッドです。まず、髪型はそれほど難しくはありません。やるのは、頬に掛かる髪だけなので、必要部分を鼻の辺りで交差させてゴムで縛り、湯パーマします。 次にヘッドの整型です。今回はちょっとこれが大変でした。見てのとおり、アゴの角度が広いキャラなのですが、下膨れというのではない。こういう場合、わたしは、「Aヘッドのアゴを削る」か「miniヘッドの頬を削る」のどちらかでやるのですが、等身などを考えて、前者でいくことにしました。が!! その選択は正解だったのかどうか、わかりません。見てもらったら分かるように、メチャメチャ削りました! ぴちぴちピッチの時のように、ちょっと削れば似るかいな?と思っていたら、とんでもない! もはや、何のヘッドだったのか分かりません。 ここまでするならデザインナイフ使ったほうが早いような気もしますが、切り後の処理がバランスを崩す恐れもあって適さず、セラカンナも刃が立ちません。ひたすらペーパーで削ります。もう、どれくらい削るのか?「穴が開くほど削る!」・・なんてのは、生易しくてダメですね。「※精神崩壊で部屋中のものを破壊し、作業中に来たNHKを殴りそうになるぐらいになるまで削る!!」と言う表現がしっくりくるでしょう(笑)
※単なる比喩表現です。実際にやってはいけません、私も実際にやったわけではありません(笑)
さて、最後はアイペイントです。簡単に見えますが、これ何か知らんけど、大変でした。基本は横目・ツリ目に描く。しかし、あまりやると怖いばっかりで可愛くないため、猫目を意識して描く。まあ、なんとかなるだろう。ところが、いくらやっても上手く行ってくれません。最大の原因は、「このキャラは、目にハイライトが無い」ということです。 描く前から分かってはいましたが、描くまで理解が足りませんでした。ハイライトを描いてはならない、じゃあ、どうすんの? というバランス的な解決策を見出せていなかったのです。失敗のアドバイスから考えた結論が、「中心軸を細く描く」でした。ハイライトがある場合、中心の黒い部分は、比率の差こそあれ、楕円形に描くのですが、そんな常識が失敗の元だったと思います。中心軸が細いと、なんか猫目風になってくれる感じもします。
とりあえず、作ってみた雑感を改めて振り返ってみますと・・。同時期に作ったネリネは、素体と服があったのもあり、数時間で完成。それに対して、確かに1ヶ月もかかったのは大変でした。ですが、逆にいうと、設計、調達、製作までのフルスクラッチを、社会人が趣味でやって、「たった1ヶ月で出来たのかよ」という気もします。長くても1ヶ月、そういう意味では、カスタムドールというのは、かなり短期で結果を出せる模型分野だと再認識しました。メカモノガレキや帆船なんか、クオリティに凝りだしたら、勤め人が1ヶ月工期では、かなり無理することになるでしょう。

技術論ばっかで、コンセプトについて、あんまり、マジな話はしない私ですが、ちょっと前々から言おうと思っていたのが、カスタムドール、特に私のような方向性のカスタマイズは、「料理に近い」と捉えています。料理人は、基本的に畑から野菜を作ったりしません。市場の豊富な素材の中から材料を調達します。ですがそれだけに、その目利きというか、素材の知識が必要だったりします。また、いままでのレシピによる経験から、最終形のイメージを作り、メイン素材に対する副采/香辛料を決め、製作自体は短時間です。実際に作ってみて、味見をし、イメージ通りでない所を修正して、本作成すれば出来上がりです。

知識、想像力、技術力は必要ですが、短期で結果が出ると言うのが重要で、モチベーションが挫けることなく完成させられる。結果的にこれが、先の3つを向上させますし、もっと上を! 今度はもっと上を! とか思っていると、あんまり飽きたりしません。また、別イメージの服を作ったり、買ってきたりのコーディネイトや、未熟だった過去の作品をリペイントしたりすると、新たな発見もあります。

人形というのは、受動的なホビーという側面が少し強いので、話題・モチベーション・資金の3つのどれかが、底をついてしまいがちです。上手下手は別にして、有る物は買って、無い物は作るという、「自在」と言う点では、カスタムは能動的です。これが、飽きっぽく、待つのが嫌いな私が、この趣味を長く続けている根幹かな?とか思ったりしています。
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